小矢部青年会議所 6月例会 講演を聴講して
講師:大田 弘氏(元熊谷組 社長)
講師の大田さんは宇奈月町に生まれ、映画「黒部の太陽」を観て熊谷組に入る決断をなさったそうです。現在は熊谷組の相談役として黒部ダムを題材に数々の講演を行っておられます。
黒部ダムは世紀の難工事であり、これをやろうと関西電力の太田垣士郎社長は、当時無謀といわれたにも関わらず決断をした。着工から8か月後、トンネル工事で最大の難関、破砕帯ぶつかる。万事休すかと思われたとき、太田垣社長は破砕帯の現場へ危険も顧みず足を踏み入れた。そして『私は絶対に諦めない、一緒に頑張ろう』と作業員と共に肩をたたきあった。そこで出会ったのが熊谷組笹島班の班長笹島信義さんであった。笹島さんは太田垣社長に『掘れるかね』と聞かれて、『何とかなるでしょう』と答えた。二人の情熱が通じた。現場の作業者は『必ず掘ってやる』との思いを強くした。太田垣社長の情熱に笹島班長も惚れ、それが作業員皆に伝染していく。リーダーとして大切なことは部下や周りの人に惚れさせることだと大田さんは言う。入善出身の笹島さんが晩年、一番大切にしていたものを大田さんに見せてくれたそうです。それは一緒に働いた人の名簿「人夫帳」です。これが笹島様の宝物なのです。
今日のご講演では『決して諦めないこと、人に惚れさせること』の大切さを学ばせて頂いたように感じました。
(小矢部青年会議所6月例会 6月9日の講演より)